地下迷宮を擁するからくり屋敷で繰り広げられる血の惨劇。これぞ王道の本格探偵小説!!

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地下迷路を擁するからくり屋敷で繰り広げられる血の惨劇。
 
横溝正史 著

角川文庫

  『迷路荘の惨劇』

~霧名亜夜斗の「この探偵小説が面白い!!!」~

 

 

   《あらすじ》

明治の元勲・古館種人が富士の裾野周辺に建てた豪邸・名狼荘(めいろうそう)。
そこは広大な敷地に水田や蜜柑山までそなえ、さらに屋敷内には無数の“どんでん返し”や、地下にも続く抜け穴が仕掛けられ、別名「迷路荘」(めいろそう)と呼ばれていた。

そこでは、昭和五年、二代目主人・古館一人が不倫の妻と情人に斬りかかるも、妻を殺した所で、情人・尾形静馬の返り討ちにあい落命するという事件があった。
そして、一方、片腕を失いつつ屋敷の深遠な地下迷路を逃げこんだ静馬は、その後も生き長らえているという・・・・・・

やがて、昭和二十五年秋、古館一人の子息で没落華族の辰人から「迷路荘」と、彼の美しい妻を譲り受けた新進実業家・篠崎慎吾は、辰人を含む二十年前の事件関係者を屋敷に集めて供養を企画、同時に屋敷を改装して、旅館とするお披露目会を催す。

金田一耕助は、協力者である風間俊六の紹介で、何か考えがある慎吾に招かれ、「迷路荘」に足を運ぶ。

だが、屋敷の周辺に怪しい“片腕の男”が出没する・・・そして事件が発生する・・・辰人が何者かに殺害されたのである!!!

 

 

   《解 説》

名探偵・金田一耕助の活躍する長編探偵小説です。

本作で舞台となるのは、横溝作品でお馴染みの獄門島八つ墓村のような、島や村といった閉鎖社会ではなく、地下迷路を擁する「迷路荘」と呼ばれる不気味な屋敷です。

地下迷路というだけでも、ミステリアスなのに、作中妖しげな“片腕の男”が神出鬼没に出没します。

さらに、遺体の発見状況も、不可解です
第一の殺人では、片腕がなぜか遺体に縛り付けられ、倉庫内の馬車の上で発見されます。

第二の殺人では、犯行現場は密室状態のバスルームで、被害者が使う気が無さそうだった入浴剤が、なぜか使われていました。

 

 

大小様々に散りばめられた伏線とヒント……
まさに“古き良き時代の探偵小説”そのものです。

王道的な、“名探偵による本格探偵小説”に関心のある方に、本作品を強く推薦いたします。

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